人事評価制度導入時の心構え

会社によって人事評価制度を導入する背景は、色々とありますが、「脱年功序列」=能力主義の導入という理由で導入する企業様は多いです。
つまり、年齢や入社歴でポジションや待遇が決まるのではなく、役割の難易度と価値により等級がきまり、役割の達成度合いで評価し、年齢や勤続年数に関係なく評価し、個性や能力に応じて人員配置したいという想いから、人事評価制度の導入をしたり、大幅改定に踏み切ったりするのです。

その他では、社員の成長、特に、「中間管理職の育成」のために人事評価制度を導入したいという企業様も多いですね。
評価制度を導入することで、上司が部下をしっかりと評価(出来ている点を指摘してそれを伸ばし、反対に、出来ていない点は指摘して改善を促す)し、評価イベントである目標設定面談・中間面談・評価面談(1対1の個別面談)を通じて、部下の人材育成だけでなく、中間管理職も育成するということを主眼におき、制度を導入するのです。

このように記載すると、会社にとっても、社員にとっても、素晴らしいことのように思えますが、一部の社員にとっては、評価制度導入が、不利益になる場合もある点が、どの企業でも難しい感じることです。
すなわち、脱年功序列という目的で人事評価制度を導入した場合、年齢が高いという理由だけで管理職となっていた人は、評価制度に則って評価すると、評価制度導入後、一定期間が経過した際には、降格せざるを得ません。
ですから、評価制度導入前後では、必ずと言って良いほど、反対する社員(管理職の幹部社員も含む)が出てきます。ときには、会長(前社長)など、そのような会社を今まで作り上げてきた人が反対することも珍しくありません。人事評価制度の説明会の際に、あからさまに反対の意思表明をするような方もいらっしゃいます。

ですが、忘れて頂きたくないのは、そのように人事評価制度導入をネガティブに捉える人もいえば、逆に、ポジティブに捉えている人もいるということです。
若手社員で非常に努力して成果を上げている人は、「何で年功制なんて古臭い仕組みをいつまでもやってるんだろ?この会社で頑張っても無駄だから、そろそろ転職しようかな。」と心の中で思っている人は少なくなりません。また、年功序列の風土で管理職になった人の中にも、部下の面倒見が良く、成長をサポートしたいという人はいて、会社が成長を支援する人事評価制度を導入することにより、人材育成の才能が花開く方をたくさん見てきました。また、「まずはやってみようか」という柔軟な気持ちで制度を活用することで、成長していく管理職・社員の方々もみてきました。

ですから、人事評価制度導入時に、大切にして頂きたいのは、変化を前向きに楽しむ心構えです。
人間は、現状維持バイアスがありますから、人によっては、新しい取り組み自体に嫌悪感を抱く方もいらっしゃいます。特に人事評価制度は、通常の仕事以外に目標設定や面談など、仕事が増えますから尚更です。
ですが、目標設定→振り返り→目標設定というPDCAサイクルを回すからこそ、成長するわけですから、評価制度に関わる業務は成長のために必要不可欠ともいえます。ですから、社員の皆様には、良いチャンスだと思い、前向きに挑戦して頂きたいですね。

他方で、「社長の断固たる決意」も非常に大切です。新制度導入時には、上記のように、ポジティブに捉える方、ネガティブに捉える方が必ず出てきます。そんなときに、会社のビジョン、組織のあるべき姿を踏まえた上で、現状の課題を直視し、それを解決するために、何としても会社を変えるんだ、その手段としてこの人事評価制度を導入するんだ、という強い気持ち、覚悟が大切です。社長が一切ブレない言動をすることで、会社が変わっていきます。

4月は新年度ということもあり、新評価制度を導入する企業様が多くありますが、是非、新しい取り組みを前向きに捉え、個人の成長&会社の成長に繋げていっていただきたいですね。