「賞与の給与化」と昇給率
最近、ソニーが冬の賞与を廃止し、給与化したというニュースが駆け巡り、
話題となっていますね。こちらをご覧ください。
業績によって支給金額に大きく差が出る賞与よりも、月給を上げたほうが
安定的な収入確保につながり、人材獲得にも繋がるという考えた方の用です。
採用の場面では、賞与ではなく、月給を重視する候補者も増えていますので、
そのような流れに沿った報酬制度の変更なのでしょう。
この賞与の給与化に関連して、一点、注意しておきたいのが、基本給の昇給率
です。
昇給率は、今までは、中小企業では2%程度が平均でしたが、最近では、
5%位としている企業も多くあり、経営者の頭を悩ませています。
「物価も上昇しているし、他社も給与を上げているから、うちも今まで以上に
上げないといけないな~。3~5%位昇給させるか?」
というように考えている経営者は多いでしょう。
もちろん、人材確保、離職防止、社員のやりがい向上の観点から基本給を上げる
ことは大切ですが、注意しなければいけないのが、「他社が5%位昇給させている」
というデータをそのまま鵜呑みにするということです。
5%程度昇給させている企業の中には、ソニーのように賞与を給与化している
ような企業も含まれているということが盲点なのです。
賞与を給与化した場合、当然のことながら、年収ベースは変わっていません。
年収は変わらず、ただその内訳が変わっただけです。
日経新聞で「〇〇社、昇給率5%」など掲載されても、実際の社員に話を聞くと、
賞与を給与化したり、管理職手当が削られたりした結果、基本給が上がってい
るような場合もあります。年収ベースでは変わっていないことも多いのです。
昇給という世の中の流れに過敏に反応し、会社の業績が芳しくないにも関わらず、
賞与も今までと同水準支給し、基本給も大幅に昇給させることで、経営難に陥って
は元も子もございません。ご注意下さい。