【業界の常識を打ち破る】日給制から「完全月給制」への挑戦 ~若手採用と既存社員の安心を両立する制度設計~』

10月に入り、朝晩は秋らしい涼しさが感じられるようになってまいりました。

さて、建設業をはじめとする現場仕事の業界では、今でも
「日給制(働いた日数分だけ支給する日給月給制)」
を採用している企業が数多く存在します
。

昭和の時代から現場一筋でやってこられたベテランの職人さんにとっては、
「働いた分だけ日給で払ってもらうのが一番わかりやすくて良い」という
感覚もありますし、会社にとっても天候不順や現場の稼働状況によるリスク
を抑えられる側面がありました
。

しかし、現在の中小企業を取り巻く環境は「空前の人手不足&売り手市場」です。

会社を永続的に発展させていくためには、若い世代の採用がマストです。
ところが、「雨が降って現場が休みになると給与が減ってしまう」という
日給制のままでは、今の若手求職者から選ばれることは極めて難しくなっています
。

今回は、先日まさに「日給制から完全月給制&週休2日制(年間休日125日)」
への大改革を決断し、制度導入を果たされたあるクライアント企業様の事例をご紹介します
。

■ 超頭が切れる社長との「30分打ち合わせ」

今回のプロジェクトを牽引されたクライアントの社長様は、超有名私立中高・大学
を経て大手広告代理店の営業として活躍されたという経歴の持ち主です。

ご自身が大企業での評価・報酬制度を体感されていたこともあり、等級・評価・賃金
の仕組みに対する知見が非常に高く、何より「決断のスピード」が圧倒的でした。

通常であればコンサルタントとの打ち合わせは2時間ほどかかるところ、こちらの
会社様では毎回わずか30分程度でバシッと重要な意思決定が完了していきました。

「会社の将来のために若手を採用・育成していく。そのためには業界の当たり前
に捉われず、早く月給制に変えるべきだ」という確固たる信念とスピード感が
あったからこそ、短期間で大改定を形にすることができたと感じています
。

■ 一番重要なのは「既存社員に絶対に不利益を出さないこと」

経営者が「月給制に変えよう!」と早期決断することは非常に素晴らしいことです。
しかし、制度を設計する上で絶対に避けるべきなのは「これから入る若手のために、
今まで会社を支えてくれた既存の職人さんが不利益を被ること」です。

もし「月給制になったら手取りが減った」となれば、ベテラン社員の不満や
離職を招き、本末転倒になってしまいます。

そこで今回の制度構築では、全社員の過去の実績データを徹底的に分析し、
綿密なシミュレーションを行いました
。

  • 前年度の全出勤日数実績(基準日給×実績)

  • 休日出勤における割増手当の実績額

  • 皆勤手当や各種手当(職長手当・指導手当等)の年間合算額 etc

これらすべての要素を漏れなく合算して
「前年度と同じだけ出勤すれば、新制度でも絶対に同等以上の年間給与が得られる」
ように、一人ひとりの基本給を個別に設計(安心ルール)しました。
現場の都合や天候による収入減の不安を無くし、生活の土台を100%保証する
「完全月給制」へと見事に昇華させたのです
。

■ 「安心」の次に必要なのは「成長の道筋(等級・評価制度)」

単に「給与を月給にして安心させる」だけでは、社員のモチベーションや技術
向上には繋がりません。
今回の改定では、月給制への移行と同時に「役割等級制度」と
「明確な評価・昇給テーブル」もセットで導入しました
。

評価項目(理念・人間力、取り組み姿勢、技術・能力、タイムマネジメント等)
を明確にして100点満点で評価し、その結果がどのように昇給へ連動するのか
というルールを社内にオープンにしました
。これにより、

「どういう行動や技術を身につければ上の等級に上がり、給料が増えるのか」
という成長のロードマップが社員全員にクリアに見えるようになったのです
。

■ 変化を恐れず、一歩踏み出す経営者へ

「うちは昔から日給制だから……」
「月給制にしたら固定費の負担が増えるのが怖い……」

そう悩まれる経営者様のお気持ちもよく分かります。
しかし、時代が大きく変化し、求職者の価値観が変わっている今、従来のやり方
に固執することは、将来の採用難・人手不足というさらに大きなリスクを引き
寄せることになりかねません
。

経営者として変えるべきは、早く意思決定して変える。
ただし、現場を支える社員に対しては、不利益が出ないよう綿密かつ誠実に
シミュレーションを行って守る
。

この両輪をしっかりと回せば、社員が将来にわたり安心して誇りを持って働ける
「選ばれる会社」へと生まれ変わることができます
。

自社の報酬制度や採用にお悩みの企業様は、ぜひ一度、
これからの時代に合わせた「制度の見直し」を検討してみてはいかがでしょうか
。