ジョブクラフティング~その1~

先日、法政大学の石山教授の「ジョブクラフティング」に関する講義を聞いたので、ジョブクラフティングについて感じることを徒然なるままに書きたいと思います。

まず、簡単にジョブクラフティングの概要についてまとめますね。


■ジョブクラフティングとは
ジョブクラフティングとは、社員一人ひとりが、仕事に対する認知行動人間関係を自ら主体的に修正していくことで、“やらされ感”のある仕事を“やりがいのある仕事”へと変容させる手法のことを言います。
イェール大学経営大学院准教授のエイミー・レズネスキーとミシガン大学教授のジェーン・E・ダットンが提唱した概念です。

■目的・効果
自己効力感が高まり、自信がつく
・仕事の目的や成果に対するコミットメントが高まる
・日常の業務に自分なりの工夫を取り入れるようになる
・自分の仕事に対してやりがい誇りが持てる
ワークエンゲージメントモチベーションが高まる
組織への愛着が高まる
パフォーマンスの向上につながる
これらの効果を目的として様々な企業で実施されています。

■ジョブクラフティングの3つの視点
①作業クラフティング

仕事のやり方を工夫して仕事の内容を充実させる。
(例)東京ディズニーリゾートで掃除を担当しているカストーディアルキャストが、ダストパンを筆替わりとして、水でパーク内の地面に絵を描くこと。

②人間関係クラフティング
仕事で関わる人への接し方、コミュニケーションを工夫し良好な人間関係を築き、仕事に対する満足感を高める。
(例)今まで黙々と一人で仕事をしていた社員が、職場の先輩に自らの仕事に関するアドバイスを積極的に求めるようにすること

③認知クラフティング
仕事の捉え方や考え方を工夫し、仕事にやりがいを持てるようにする。
(例)3人のレンガ職人の事例がわかりやすいです。ある旅人が町を歩いているとレンガを積んでいる3人の職人を見かけ、「あなたはここで一体何をしているのですか?」と訪ねたところ、このような回答がありました。
職人A:「レンガ積みに決まってるだろ?」
職人B:「大きな壁をつくっているんだ。家族を養うためにこの仕事をしているんだ。」
職人C:「歴史に残る偉大な大聖堂をつくっているんだ。」
仕事の捉え方を職人A→B→Cのように変化させることです。


このジョブクラフティングは、私自身もキャリアデザイン研修の講師として実施したり、勉強のために受講生として参加したこともあります。人によっては、研修を受けなくても、既に自分でジョブクラフティング出来ている場合もありますが、多くの人にとって、良い効果があると感じています。

「自分ではこれ以上工夫のしようがない」と思っていても、研修講師や受講生と話しながら、①作業、②人間関係、③意義のいずれかを変容できないかと考えていくと、意外に工夫するポイントはあるものです。
重要なのは、ジョブクラフティングは、一人でやるよりも、講師や他の参加者や同僚と対話をしながら進めていくのがより良い効果を出すためのポイントですね。

ジョブクラフティングの研修やワークショップは、長いものですと3時間×6回のものもありますが、1日で実施できるものもありますので、まだ社内で実施したことがないという企業様は、一度実施してみることをお勧めします。

とはいえ、研修やワークショップによるジョブクラフティングは、費用や時間がそれほどかからず効果を出せるというメリットがありますが、デメリットもあります。次回は、そのデメリットを解消できるようなジョブクラフティングの方法について考察していきたいと思います。