甲子園

私の母校である慶應義塾高等学校が、甲子園で優勝しました。
OBとして大変喜ばしいことです。

なぜ、107年ぶりの快挙を成し遂げることが出来たのか?
人事的な観点から勝因を簡単にまとめたいと思います。
(メディアなどから仕入れた情報をもとにした考察ですが…笑)

まずは、【採用】 です。

慶應高校では、2004年から推薦入試を開始しています。
野球という競技で中学生時代に既に実績を上げているメンバーを約20年前から採用し、
スポーツに力を入れ始めたことがきっかけとなっていると言えるでしょう。

その結果、1960年以来、40年以上甲子園に出場出来ていなかった同校が、
この18年で8回出場(2005年春、2008年春、2008年夏、2009年春、2018年春・夏、
2023年春・夏)するほどの強豪校になっています。
今回の優勝メンバーでは、背番号1~9番のうち8人は推薦入学者とのこと。

ただ、スポーツ推薦は、甲子園出場を目指すような高校であれば、どこでも
実施しているので、競合の高校を差し置いて、慶應を選んでもらうためには、
それなりの理由が必要です。

慶應高校に入学すれば、そのまま大学にエスカレートで入学でき、慶大野球部、
六大学リーグで活躍し、元巨人軍の高橋由伸選手のようにプロ入りも目指せるし、
野球の道を外れても、就職活動に有利になるという競合にはない強力なメリット
があります。しかし、どうやらそれだけではないようです。

それは、慶應高校野球部の部活に対する取り組み方が、他校と大きく異なり、
それが選手を惹きつけているようなのです。

「文武両道」「髪型自由」「長時間練習なし」「自ら考えさせる」「野球を楽しむ」
「監督ではなく『森林さん』と呼ばせる」「コーチング主体の指導」
等が、慶應高校野球部の特徴です。

慶應高校のエース小宅投手は中学時代に全国大会優勝・準優勝の経験がある、
同年代最強の投手の一人のようですが、中学時代に50~60校の野球強豪校
からの勧誘があり、文字通り選び放題の状況下で、慶應高校を選んだ理由は、
自分で考えて出来る自由な雰囲気に魅力を感じたからだそうです。

しかも、凄いところが、森林監督が書籍を執筆されているという点です。
その書籍では「高校野球は変わらないといけない」という価値観のもと、
選手の将来を見据えた、主体性を重んじる部活動の在り方を提示しているのです。
強豪校からの誘いを断って、慶應に入学した生徒の中には、この森林監督の書籍
がきっかけとなっている人が何人もいるとのこと。

上記を企業に置き換えると、
優秀な人材の採用」+「自社の魅力(競合優位性)の発信
に集約できるかもしれません。

長くなってしまったので、それ以外の要因である、【組織風土】【育成】
【パーパス】などについては、次回以降に書いていきたいと思います。