「なんとなく評価」の脱却
3月決算の企業様にとっては、いよいよ慌ただしい年度末が目の前に迫ってきた
時期ですね。
この時期、人事やマネジメントの現場で大きなウェイトを占めるのが「人事評価」です。
先日、あるクライアント企業様の査定会議に同席させていただいた際、
非常に印象的な、そして多くの中小企業様にも共通する光景を目にしたので、
共有します。
今回は、感覚的な評価で社員に不満を持たせないために、経営層や管理職の間
で共有しておくべき「評価の軸」についてお話しします。
■ 査定会議で露呈する「3つの壁」
その会議では、各部門の管理職が集まり、部下の方々の評価を持ち寄って議論
をしていました。そこで、以下のような場面が次々と起こったのです。
① 評価項目・基準通りに評価していない
例えば、「開発件数:3件以上であれば合格」と明確な数値目標が定められている
項目がありました。しかし、ある管理職がつけてきた評点は「合格」。
理由を確かめると、実際の結果は「2件」でした。
② 事実に基づいて評価をしていない
「なぜ、基準に届いていないのに合格なんですか?」と聞いていくと、明確な理由
(部下の具体的な行動や成果)が出てきません。
「いや、本人は本当に夜遅くまで頑張っているから」「苦労していたのを一番
近くで見ているから」という、曖昧な感情論での回答でした。
③ 評価者によって「甘辛」が生じる さらに、行動指針や取り組み姿勢といった
「主体性」などの定性的な評価になると、問題はより複雑になります。
評価基準の文言自体は的確に理解していても、ある上長は「これくらいやって
当然(辛口)」、別の上長は「ここまでやれたら素晴らしい(甘口)」と、評価者
によって基準の物差しが変わってしまい、社内でバラつきが生じていました。
■ 「なんとなく評価」がもたらす悲劇
管理職の皆様が「部下を応援したい」「モチベーションを下げたくない」と思う
気持ちは、痛いほどよく分かります。
しかし、こうした「なんとなく評価」や「感情によるおまけ」は、実は組織に
とって逆効果になります。
なぜなら、本当に基準を達成した優秀な社員から見れば、「なぜ3件達成した自分
と、2件しかやっていない彼が同じ評価なのか」と、会社への強い不信感を抱く
原因になるからです。
また、甘く評価された本人にとっても、「2件でも合格なんだ」という甘えが生じ、
成長の機会を奪うことになりかねません。
■ 評価の際にやっておきたい「目線合わせ」
こうした事態を防ぐために、評価面談が終わった際には、経営層と管理職で
査定会議を実施することをお勧めします。
①評価基準(物差し)のすり合わせ
特に「主体性」などの項目について、「我が社における『主体性がある状態』
とは具体的にどんな行動か」を、管理職同士で意見を出し合いながら目線を
合わせていく。
②「事実(ログ)」に基づく会話の徹底
「頑張っている」という主観ではなく、「今期、どんな行動をして、どんな成果
を残したか」という客観的な事実(ログ)をベースに評価をつける・語ることを、
評価者の共通ルールにする。
人事評価制度は、作って終わりではありません。 評価者である管理職の皆様の
「物差しの精度」を揃えて初めて、社員が納得し、次の期に向かって前向きに
挑戦できる組織へと繋がっていきます。
面倒かもしれませんが、ぜひ社内で「目線合わせ」の時間を取ってみて下さいね。


