風通しの良い組織でも見えない「社員の本音」 ~第三者ヒアリングのリアル~

7月も中旬となり、が、皆様いかがお過ごしでしょうか。

さて、今回は先日あるクライアント企業様で実施した「社員ヒアリング」でのリアル
な出来事を、少し徒然なるままにお話ししたいと思います。

こちらの企業様では、「採用しても離職率が高い」という切実な課題を抱えてい
らっしゃいました。そこで、入社時のギャップや定着を阻害している本当の原因
を突き止めるため、社内の人間には絶対に話せない「本音」を引き出すべく、
外部コンサルタントである私が個別のヒアリングを実施することになりました。

■ 1人30分〜1時間のディープな対話

まずは対象となる社員10名の方と、1人あたり30分〜1時間ほどじっくりと
時間を取って個別面談を行いました。
ヒアリングの項目は、役員や人事の方々が「ぜひ聞いてほしい」と設定した内容に、
私がいくつか深掘りの質問を追加し、合計で10〜20個ほどの質問を投げかけました。
具体的には以下のような内容です。

  • 過去と現在: 前職は何をしていたか? どうしてこの会社に入社したか?

  • 理想と現実: 入社後、実際の現場と一番ギャップを感じたのはどこか?

  • 感情の揺らぎ: この会社がいいなと思ったのはいつか? 逆に「辞めよう」と思った瞬間はいつか?

  • 組織への視点: 身近な人が辞めた時、どう感じたか? 今の管理職へのイメージや意見は?

  • 未来と夢: 将来の夢や目標は? この会社は「なりたい自分」になれる場所か? そのために会社に求めることは?

このように、過去の経歴から未来のビジョン、そして会社に対するシビアな意見まで、多角的に話を聞いていきました。

■ 経営陣も驚いた「外部だからこそ」の気づき

このヒアリング結果を匿名化した上で、社長や役員、人事の方々にフィードバック
したところ、大変大きな反響がありました。

経営陣からは、「元々社内でなんとなく把握していた部分もあるが、やはり
『外部の人』に頼んだからこそ、ここまで明確な意見や新しい課題が出てきた」
という率直なご感想をいただきました。

この結果を踏まえ、現在こちらの企業様では、今後の「採用手法」から
「入社後のフォロー体制」、さらには「報酬制度の見直し」に至るまで、組織を
根本から改善するプロジェクトが力強く進行しています。
「もっと多様な意見を拾い上げよう」ということで、今後はヒアリング対象者を
さらに拡大していく予定です。

■ コミュニケーションが良好な会社に潜む「死角」

実は、今回私が一番お伝えしたいポイントは、ここから先にあります。

このクライアント企業様は、決して雰囲気が悪い会社ではありません。
むしろ、私のクライアントの中でも「非常にポジティブで前向きな社員が多い」
「会社の理念への共感やエンゲージメントが高い」
「社長や管理職に対する感謝や尊敬がある」という、素晴らしい組織風土を
お持ちの会社なのです。

社内のコミュニケーションも普段から非常によく取れており、相互理解も進んでいました。

しかし、そんな「風通しの良い素晴らしい会社」でさえ、いざ第三者が入って
じっくり話を聞いてみると、表には出てこない事実や、上司には言えない本音、
経営層が全く把握していなかった課題がポロポロと出てきたのです。

■ 自社の「生の声」を聞けていますか?

人間関係が良好で、上司や社長を尊敬しているからこそ、「これを言ったら迷惑
がかかるかも」「波風を立てたくない」と、あえて口をつぐんでしまう本音があります。

これほどコミュニケーションが取れている会社でさえ、見えない本音があるのです。
もし皆様の会社が「うちは最近、少しコミュニケーション不足かもしれない…」
と感じておられるなら、社内にはさらに多くの「見えない課題」が眠っているかも
しれません。

社員の生の声、本当の感情を拾い上げる機会は、今回のような「第三者による個別
ヒアリング」のほか、「従業員満足度調査」や「エンゲージメントサーベイ」など、
様々な手法があります。

採用のミスマッチや離職率の高さに課題を感じている経営者・人事の皆様は、
手遅れになる前に、ぜひ一度「社外のフィルターを通した本音の抽出」にトライ
してみてはいかがでしょうか。