パワハラ防止法
2017年にトヨタの社員が自殺し、上司のパワーハラスメントが原因だとして労災認定
されたことをめぐり、トヨタと遺族が和解したことが6月7日にニュースで報道されました。
豊田章男社長はこの問題を19年11月報道で知るに至ったとのことで、この件が、
社内で社長まで報告が上がらなかったこともわかっています。
その後、トヨタは、再発防止のため、相談窓口の設置、就業規則に懲罰を盛り込む、
部下や同僚からも評価される360度評価を導入する等の施策を実施してきました。
特に、相談窓口では、社員の家族らからも相談を受けられるほか、入社3年目までの
若手社員に限っては毎月アンケート調査を実施するという対策を施しています。
トヨタで亡くなった社員の方は、直属の上司から「死んだ方がいい」などの暴言や叱責
を日常的に受けたそうですが、職場でそのような言動がなされていることは、信じ難い
とお感じになられる方も多いでしょう。
ですが、最近のパワハラ問題でいえば、トヨタのみならず、電通や三菱電機の事例も
記憶に新しいです。大手企業の事例しかメディアに取り上げられていないでしょうから、
中小企業での事例や労災認定されなかった事例も含めると、かなりに数になるのでしょう。
実際に、都道府県の労働局では、「いじめ・嫌がらせ」に関する相談は年々増加し、
平成24年には相談内容の中でトップとなり、引き続き増加傾向にあります。
知人の精神科医から話を聞くと、鬱になる原因は、職場の人間関係や仕事のプレッシャーが
圧倒的に多いようで、パワハラ問題の根の深さを、重大さを物語っています。
また、法令上、相談窓口を設置が大企業では今年から、中小企業では来年4月より
義務付けられていますが、平成28年度の窓口設置状況は下記の通りです。
従業員1,000人以上の企業では98.0%とほとんどの企業で相談窓口を設置しているのに対し、
従業員99人以下の企業では44.0%と低い水準にとどまっています。
パワハラ防止法には罰則規定がないので、実効性に疑問があるとの意見も多いところですが、
まずは経営者が意識を高め、社内でのパワハラを防止するという強い覚悟を持ち、対策を
講じる必要があると思います。
それが、心理的安全性の確保、離職防止、採用力強化に繋がり、最終的には組織力強化、
組織の繁栄につながるということを肝に銘じるべきでしょう。
well-beingという観点からも、パワハラ対策は一番優先順位が高い分野であるため、
(法律上の義務であるため)、当社としてもサービス開発に勤しんでいきたく存じます。