個性的な人事評価制度
ご存知の方も多いかと思いますが、ディスカウントストア「ドンキ」は完全実力
主義の会社で2020年に創業者である安田氏の発案で「ミリオンスター制度」
というものが導入されました。
このミリオンスター制度は、今まで20であった支社数を100社程に増加させる
ことにより支社長の数も増加させる一方で、通年で業績が下位20%の支社長は
自動降格させるという制度です。
ただし、「ミリオンスター制度」は、ドラスティックな制度であるため、新たな
問題が生じるのを防ぐべく(制度の不備や文句、数字至上主義の弊害など)、
「アンサーマン本部」という新たな組織を発足させています。
現場に赴き、社員の悩みや不満、要望などを何でも聞いて、答えてあげるという
任務を遂行することがミッションだそうです。
さて、この制度、良い制度と思ったでしょうか?それとも、悪い制度と思った
でしょうか?
それは人、会社によるのでしょう。
安定志向の人・会社にとっては最悪の制度でしょうし、挑戦志向の人・会社に
とっては最高の制度かもしれません。
私は、色々な会社の人事評価制度のサポートをさせていただきながら、常日頃
思うのは、どの会社にもピッタリ当てはまる正解のような制度は存在しない
ということです。
経営理念、Vision、価値観、そこにいる社員、課題など、全く異なります。
重要なのは、自社にフィットする制度を作り、自社にマッチするやり方で
運用を継続するということです。
ですから、これから人事評価制度を作ったり、リニューアルしようとする
経営者の方は、「知り合いがこの評価シートでマネジメントしはじめたら、
業績が上がった。このシートが良いらしい。」なんて言葉を鵜呑みにしない
ようにしてください。あくまでもその会社にあっていただけです。
少し脱線しましたが、この「ミリオンスター制度」、私は大好きです!
何が気に入っているのかというと、超実力主義という点ではなく、
超個性的という点です。
会社の制度・仕組みなどは、経営理念を体現し、会社の考え方を社員を含め
ステークホルダーに伝える強烈なコンテンツです。
ドンキの下記のような考え方が、伝わってきます。
・チャンスを与えたい
・チャレンジして欲しい
・敗者復活OK
・権限を移譲する
・実力主義
・組織の新陳代謝を重視したい
人事評価制度にもある程度の型(多くの企業に当てはまりやすいパターン)
はありますが、せっかく作るのであれば、自社らしいユニークな部分を
取り入れても良いと思います。
今回紹介した「ミリオンスター制度」は、大企業の取り組みですが、
中小企業こそ、自社の個性を全面的に打ち出した評価制度を作ることが可能です。
〇社員全員で話し合って給料を決める
〇サイコロを振って、賞与金額を上乗せする
〇どんなに業績が悪かろうが、全員一律で定期昇給を実施するetc
上記は有名な中小企業の例ですが、そこまでいかなくても、少しだけ
評価の方法や運用を工夫することでも、自社らしい制度になります。
〇評価項目の行動指針にどんな言葉を入れるのか社員で話し合って決める
〇評価面談の際に周囲の社員からの感謝の言葉をまとめて伝える
〇チーム全員で評価シートの自己評点を発表し、相互にアドバイスするetc
是非、参考にして頂ければと思います。