やりがい
「田中さんの前で、本音を言わせてもらいますけど、はっきり言って、
私はこんな人事評価制度なんて、どうでも良いと思ってますから。」
3~4年前、ある会社の人事評価面談(振り返り)の際に、クライアントの社員
の方(Aさん)が仰っていた言葉です。厳しい口調で、怒りを感じました。
また、嘲笑するような、相手を馬鹿にするような態度すら感じました。
手間がかかることが嫌だそうで、失礼ですが、目標設定も適当、当然ながら
目標達成に向けての行動も適当で、振り返りの自己評点も全項目で最低点を
つけて提出し、振り返りコメントも「できませんでした」の一言のみ。
自己肯定感も低く、仕事に主体的・意欲的に取り組まず、
自分のこと、自分の仕事だけを淡々とこなせばよいというスタンスもあり、
周囲からの信頼も決して高くはありませんでした。
表情も暗く、いつも不機嫌そうな表情をしているという印象です。
そんなAさんが、なんと今ではリーダーとなり、周囲をサポート、指導する
立場になっています。
中途の年下の社員や新入社員を見守り、適宜フォローしながら、みんなを
食事に誘うなど、チームを意識した仕事振りが出来るようになっています。
感情表現豊かで、笑顔で仕事をしています。
上司や社長からの信頼も厚く、なくてはならない存在となっています。
そんなAさんは、人事評価制度に対する取り組み姿勢も3~4年前とは大きく
異なります。
具体的には、
・将来の理想のキャリアイメージを持ちながら、高い目標を設定する
・組織の課題の解決するための目標をやりきる
・しっかりと振り返り、PDCAを回すetc
今や模範的なリーダーですね。何でこんなに大きく変わったのでしょう?
一番大きいのは、本人の意識変化、努力だと思いますが、人事評価制度の
運用も微力ながら貢献していると、私は信じています。
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①目標を考える
半年に一回、組織の目標達成のため、また、自己成長のための目標を考える。
②期待を伝える
上長からは「こうなって欲しい」という期待をしっかりと伝える。
③目標達成に向けて行動する
組織目標、及び、自分で設定した目標を達成するために行動する。
④フィードバックする
出来ているところはしっかりと褒めて、出来ていないとところは改善を促す。
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当たり前のことをやっているだけですが、上記の流れでPDCAを何度も回して
いく中で、成長を実感し、仕事が面白くなり、徐々に行動が変わっていったの
ではないかと思います。
特に、Aさんは自己評価が低く、若干仕事に対して投げやりの部分もあったので、
前述のように人事評価の自己評点で全ての項目に対して最低点である1点をつけて
きました。それを何年も継続していました。
ですが、そのたびに、上司が「いや、そんなことはないよ。Aさんはこの項目に
関しては、しっかりと出来ていて、チームのみんなは大変助かっている。
だから、合格点の3点だよ。」など、繰り返しフィードバックを伝えることで、
自己肯定感が上がっていき、仕事へ前向きになっていったんだと思います。
私としては、このように人や組織が成長する過程に立ち会える、伴走すること
が出来る点が人事コンサルタントという仕事の大きなやりがいだと感じて
おります。