中小企業の賃金UP方法

本日の日経新聞で「JAM、ベア1.5万円以上」という見出しの記事がありました。
(JAM=機械や金属などの中小製造業の労働組合を中心に構成される組織)

記事によると、JAMは
・基本給を底上げするベースアップの要求水準を1万5,000円以上
定期昇給を含めた賃上げ額1万9,500円以上を目指す
とのこと。

また、中小企業は原材料や光熱費上昇のコストを価格に転嫁できておらず、
賃上げの原資を確保できてない企業もあり、経営余力のある中堅企業と
中小企業との間で賃金格差も生じているとのこと。

具体的には、2022年には、企業規模により平均月収で4.6万円程であった格差が
2025年には5.6万円程に格差が広がるようです。

【2022年】
・組合員1,000人以上:32万1868円
・組合員300人未満:27万5457円
⇒格差4万6411円
※この格差が2025年には5万6798円になる

それだけでなく、政府は2020年代に最低賃金を1500円まで引き上げる方針です。
ベア、昇給だけでなく、下限の給料が強制的にあげられていきます。

じわじわと賃上げの圧力が高まる一方で、中小企業は価格転嫁できていない等の
原因により利益を確保できていない場合が多いです。
日々悩みながら経営されている方々も多くいらっしゃいます。

私の立場上、「人事評価制度を導入すれば解決!」と言いたいところですが、
(また、あたかも人事評価制度で全てが解決するような宣伝文句を謳っている
同業他社もいますが…)、残念ながら、そんなに単純に解決できません。

では、どうすればいいのか?
簡単にまとめさせていただきました。

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①利益を上げる
・昇給の原資を作らなければなりません。
・少子高齢化、斜陽産業、売上偏重主義、価格転嫁できていないetc
様々な原因で業績が停滞、右肩下がりの企業がたくさんあります
・経営計画を立案し、戦略、計画を立てて、利益を上げる必要があります。
・業績を良くして、昇給や賞与に回していきます。
・当然のことながら、待遇改善は、採用、離職防止、生産性向上に影響します。
中長期経営計画を立案し、経営計画に則って、行動するということです。

②利益を適正に分配する
・出した利益を社員全員に満遍なく、年功序列的に配分することはお勧め
しません。年齢や社歴に関わらず、会社に貢献した社員、実力のある社員
に重点的に配分していくべきです。
・昇格昇進のルールも見直し、若くても管理職につけるような制度にするべきです。
・優秀な社員が辞めない仕組みを作ると良いでしょう。
(良くないのは、『優秀な社員から辞めていく会社』です)
人事評価制度を導入・改定して、貢献度に応じて利益を分配するということです。

③社員一人当たりの生産性を上げる
・一昔前は、「採用=善」という考え方がありましたが、今は逆です。
採用難ですから、なるべく人を雇わないで利益を出せる体制を目指します。
具体的には、
・AIを含めたIT、機械などを活用し、可能な限り人を少なくして経営する。
・社員一人一人に利益に対する意識を植え付け、当事者意識を持たせる。
・社員を教育し、鍛え、実力を上げる。
・社員の心身を良好な状態にし(well-being)、パフォーマンスを最大化する。
・労働時間、休日など働きやすい環境を整える
・社員同士の人間関係の質を向上させ、生産性を上げる。
・社内イベント、1on1などエンゲージメントを向上させる。
教育、組織開発、DXなど、あらゆる手段を講じるということです。
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①~③をどのような順番でやっていくかは、企業の状態によりけりですが、要は、
より少ない人員で、より多くの利益を上げ、より多くの給料を払うということです。
そうすれば、結果的に、社員を採用しやすくなり、また今よりも離職者が減ります。

といっても、「言うは易し、行うは難し」ですね…。

ただ、「新規事業を立ち上げて上場!」というような経営計画は難しいかも
しれませんが、「少しずつ利益を上げて、同エリアの同業には勝てる」という
状態を目指すのであれば、やれば何とか出来そうな気がしませんか??

私も日々精進しながら、上記のような企業に生まれ変わるサポートをしていきたいと
思います。頑張っていきましょう!