人手不足倒産
2024年度の全国の企業倒産件数が11年ぶりに1万件を超え、さらに、求人難や
人件費高騰による人手不足倒産が前年度比で6割を超え、過去最多になったと
ニュースがありました(東京商工リサーチ)。
中小企業の経営者からすれば、特に最近の人手不足が深刻であり、人手不足や
採用難が会社に与えるインパクトが大きくなっていることを実感されていると
思います。
さて、この状態はいつまで続くのか?
色々な考え方があると思いますが、リーマンショックのような大不況が来ない
限り、このような状況はずっと続くものと思われます。
なぜか?
それは、現在の人材不足が一時的な要因ではなく、人口減少による労働人口
減少という構造的な問題を背景としているからです。
また、人手不足倒産は、国としては減らしたいどころか、むしろ、増やしたい
のではないかとも思えるからです。
国は、日本の企業の生産性を高め、賃金を上げて、経済を活性化させる方針です。
日本はOECD加盟国や先進国の中で、生産性が低いと言われますが、その原因
の一つとしてあげられるのが、中小企業が多いことです。
この理由はアトキンソン氏(元ゴールドマン・サックスで日本経済のアナリストを
されていて、都市銀が数行に集約されることを予想していた方)が指摘された
ことにより注目を浴びました。
アトキンソン氏は、日本の生産性を上げるためには、最低賃金をどんどん上げて
いけばよいと提言されています。
その結果、その賃金支払いに耐えることが出来ない生産性の低い企業が自然に
淘汰され、企業は大規模化していき、結果として生産性の高い企業が残っていく
という流れです。
その主張に沿うかのように、日本の最低賃金はどんどん上がり続け、政府は
これまで2030年代半ばとしていた最低賃金1,500円(時給)の目標を2020年代に
前倒ししました。
(アトキンソン氏は、菅元首相のブレーンもされていましたね)
今回のニュースに対して、大和総研のエコノミストの方は、
「生産性の高い企業への労働が移動すれば、結果として経済全体の生産性が
高まるのではないか」
とコメントされていますが、政府の本心を代弁しているかのようにも思えます。
さて、大切なのことは、このような外部環境の中で、自社はどうすればいいのか?
ということです。
①生産性を上げ、賃金を上げ、人を採用し、規模の拡大を目指す
②少数精鋭で人手がいらないビジネスにしていく
③その他・・・・・
色々な考え方がありますが、正解は無いですね。
ですが、間違いなく言えることは、漫然と今まで通り、普通にやっていては
いけないということです。
是非、中長期の視点で、「どんな会社にしたいのか?」「何をするべきなのか?」
をじっくり考え、すぐにでも何か行動に移す必要があります。