成果を出す人の共通点 ~評価シミュレーションで見えた「行動指針」の力~

当社が人事評価制度の構築をお手伝いする際、経営陣や人事の皆様が最も頭
を悩ませるポイントの一つに、「評価項目の設計とウェイト(重要度)の配分」
があります。

「何を評価基準に置くべきか?」
「それぞれの項目を何パーセントずつの割合にするか?」

これらには絶対的な「唯一の正解」はありません。
「社員にどうあってほしいか」「どんな行動を促したいか」「成果を重視するのか」
「自社の成熟度や評価者の工数に見合っているか」などを多角的に考慮しながら、
会社ごとに最適なバランスを模索していくものです。

例えば、極端な例でいえば完全成果主義の会社です。
仕事への取り組み姿勢や日々の行動プロセスは一切問わず、
「売上や契約数などの数字(結果)だけを100%評価する」という設計も、
方針としては一つの選択肢です。

しかし先日、あるクライアント企業様の評価制度構築において、
経営幹部の皆様が全員一致で「ハッ」と息をのむような、
非常に興味深い出来事がありました。

■ 評価シミュレーションで浮かび上がった「ある傾向」

その会社様では、制度設計にあたって「成果目標」「スキルマップ」
「等級ごとの役割責任」など、網羅的な評価項目をバランスよく組み込んでいました。
さらに、評価制度の導入と同じタイミングで「経営理念」と
「行動指針(バリュー)」を新たに刷新し、この「行動指針」も評価項目の一つ
として取り入れることにしたのです。

そして、制度を本運用する直前の最終調整段階で、全社員を対象にした
「テスト評価(評価シミュレーション)」を実施しました。

集計されたデータと社員一人ひとりの顔を突き合わせながら分析していたとき、
経営幹部の皆様がある決定的な事実に気がついたのです。

「……行動指針の点数が高い人って、全員成果も出していませんか?」

■ なぜ「行動指針」が一番大切なのか?

データを詳しく紐解いていくと、驚くほど明確な傾向が表れていました。

「行動指針」の実践度が高い社員は、
・等級や役職ごとに求められる「役割責任」をしっかりと果たしている
・「スキルマップ」の習得点数も非常に高い
・そして最終的に、目標とする「成果(数字)」もしっかりと叩き出している

という相関関係が、社内ではっきりと実証されたのです。

幹部の皆様は、深く納得されました。
「成果を出しているから素晴らしいのではない。理念や行動指針に基づいた
『正しい姿勢や行動』を徹底しているからこそ、スキルが身につき、周囲の信頼
を得て、結果として成果が付いてきているんだ」と。

この気づきを機に、その会社様の方針は明確に定まりました。

「評価項目の中で、行動指針のウェイト(重要度)をもっと引き上げよう」
「制度の定着に向けて、行動指針をいかに日々の現場へ浸透させるかに全力を注ごう」

制度の骨組みだけを議論していた段階から、組織の「魂」に火がついた瞬間でした。

■ 「成果」は「行動」の影に過ぎない

評価制度を検討していると、どうしても目に見えやすい「売上」「件数」
といった成果指標や、目に見える「スキル」に目線が奪われがちです。

もちろん、企業である以上、成果を追求することは欠かせません。
しかし、成果とはいわば「行動という本体が落とした影」のようなものです。
日々の行動指針(価値観・スタンス)が伴っていないまま小手先のテクニック
や無理な数字ばかりを追い求めても、組織は疲弊し、持続的な成長は生まれません。

「自社が本当に大切にしたい行動とは何か?」
「どんなスタンスを持った社員を賞賛し、引き上げたいのか?」

評価制度を作るプロセスは、自社のカルチャーを再定義する絶好の機会でもあります。

もし今、自社の評価項目や基準づくりで迷われている企業様があれば、まずは
「自社の行動指針」に立ち返ってみてはいかがでしょうか。
そこを太い幹として据えることが、結果的に最も強い成果を生み出す近道になる
かもしれません。