生産性アップ(お金vsピザvs誉め言葉)

本日は、インテルの半導体工場で働く従業員を対象とした実験を紹介します。

インテルのイスラエルの工場では、4勤4休でした。
人事部の人たちは、4連休後の初日勤務は休み気分を引きずっているから、その日には
目標を与え、その目標をクリアしたらボーナスを上げようと考えました。
そして、1日目には目標達成したらボーナスを支給し、2日目~4日目は目標も
ボーナスもなしにすることとしました。
ここで、実験とは、ボーナスの内容を①現金、②ピザ、③ボスからの誉め言葉
と社員によって変えてみて、どのボーナスを貰った社員が生産性が上がったかという
ものでした。

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①「現金(約3000円)」、②「ピザ」、③「ボスからの褒め言葉
連休明けの1日目に、生産性が一番上がったのは、上記いずれを受け取った社員か?
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答えは、②です。
上記の①~③は全て生産性が上がりましたが、②ピザは6.7%アップ③ボスからの
誉め言葉は6.6%アップ、①現金は4.9%アップという結果でした。
現金よりも、ピザや上司の誉め言葉のほうが生産性が上がるというだけでも十分面白い
結果ですが、この実験には続きがあります。

現金を貰ったグループは、2日目以降になると、一気にモチベーションを低下させて
いたのです。
それに対して、ボスからの誉め言葉を貰ったグループは、2日目以降も生産性の高い
状態が継続していました。詳細は、下記の図をご参照ください。

ダン・アリエリー 「幸せ」をつかむ戦略

※出典 「ダン・アリエリー 『幸せ』をつかむ戦略

1日目の生産性に関して、現金支給は、ピザや誉め言葉に比べて劣るというだけでも
面白い実験結果ですが、衝撃的なのは、2~4日目の生産性低下を考慮すると、現金は
ボーナスとして支給しないほうがマシであったということです。

もちろん、これが全ての企業のボーナスに当てはめることができないですが、社員の
モチベーションアップ、生産性向上には、場合によっては、お金よりも効果的なもの
がある、そして、その一つが、上長からの誉め言葉である場合もあるということです。

社員を動機づけ、生産性を向上させなければならないマネージャー、経営者、人事
担当者などは、この実験結果を参考にして頂きたいと思います。

ちなみに、誉め言葉は、幸せの4因子である、「ありがとう因子」を強化するもので
あり、well-being度も向上します。
上司から誉め言葉を貰った社員だけでなく、上司も幸福度が上昇し、生産性が向上した
のかもしれません。しかも、お金とは異なる非地位財は幸福度が長続きすることが、
研究結果からも明らかになっています。
だから、誉め言葉を貰ったグループは、2日目以降も生産性が下がらなかったのでしょう。

この実験は、感謝の気持ちがwell-being及び生産性を向上させ、しかも長続きする
ことをも証明しています。