well-beingとパワハラ

2019年に改正労働施策推進法(通称:パワハラ防止法)が成立しました。
大企業では、今年、2020年6月より、中小企業では2022年4月から施工されます。

会社側が、雇用管理上、実施する必要がある具体的内容としては、
●企業(事業主)によるパワハラ防止の社内方針の明確化と周知・啓発
●苦情などに対する相談体制の整備
●被害を受けた労働者へのケア再発防止 等 が挙げられます。

罰則規定がないため、実効性に疑問があるともいわれている法案ですが、
パワハラが常態化し改善されない企業は、企業名が公表されることもあります。

もちろん、パワハラがwell-being(社員幸福度)に影響を与えることは、感覚的に
理解できると思います。
それを裏付けるように、慶應義塾大学前野研究室とパーソル総合研究所の研究により、
上司のマネジメントがはたらく幸せ・不幸せにどのような影響を与えるかが明らかに
されています(詳細の研究結果はこちらをご参照ください)。

上記研究結果を一部抜粋して紹介しますが、下記図からわかるように、ハラスメントは、
社員の幸せを減少させ、不幸せを増加させる「百害あって一利なし」です。

パーソル総合研究所 ×前野隆司研究室  はたらく人の幸せに関する調査

パーソル総合研究所 ×前野隆司研究室  はたらく人の幸せに関する調査

ただ、興味深いのが、パワハラの中でも、下記3つの項目です。

「上司は『常に自分が正しいと思っている』」
「上司自身のことを客観的にみられていない」
「数値や結果だけを求めてくる」

上記に対して、「とてもあてはまる」「ややあてはまる」と回答した割合は高く、
約20~30%ですが、部下の不幸せ実感に影響している部分であり、これらを改善
するだけで、かなり不幸が減少します。

ですから、上司はそれを踏まえた上で、
・通知や結果だけでなく、行動を求めて、プロセスも評価する
・自分の過ちも認める
・部下の意見を聞き、尊重しながら業務を遂行させる
等を実施して頂ければ、社員のwell-beingは向上します。

このような上司がいる組織は、心理的安全性が確保されていると言えるでしょう。
(心理的安全性に関しては、また別のブログで書きたいと思います)
是非、お取組み頂ければ幸いです。