働き盛りの社員の自殺
私の周りには、社会保険労務士、転職エージェント、研修講師等、コーチ、人事担当者など、人・組織に関する仕事をされている方々が多くいます。
その方々と色々と情報交換するのですが、ここ1~2ヶ月で、その方々のお客様もしくは、クライアントの社員が自殺したというケースが2件もありました。いずれも30代の働き盛りの男性です。
実際のところの自殺の原因は当の本人にしかわかりませんが、事情を聞いてみると、他人との比較、キャリア上の悩み、メンタル不調、社内の人間関係、その人自身の性格など、色々な要因が複雑に絡み合っているようでした。
30代の身体の健康な方が、働くことも原因となり、自ら命を絶ってしまうことは残念でなりません。
私は、過去こんな相談に乗ったことはあります。
①「人事をしており、ある社員の相談に乗った。しかし、その社員が後日、自殺してしまった。」
②「第一志望の会社に落ちた。自殺したい。」(思い留まることになりました)
しかし、私の自身のお客様や周囲の人で自殺した人はおらず、聞いた話だけでも、上記①の1件しか無かったので、正直驚きました。
もっとも、日本国内で実際に自殺した人の数を調べてみると、毎年2~3万人となっています。
それだけでなく、変死が毎年2~3万人。WHOによると、変死の約半分は、自殺と見て良いそうです。
とすれば、1万人位は上乗せされ、毎年3~4万人位の自殺者がいるということになります。
また、諸外国(G7)と比較しても、日本の自殺率の高さは突出しているそうです。
さらに、驚くことに、20~30歳代の死因として最も多い原因が自殺です。
これだけ騒がれているコロナでも2020年1月~2021年10月20日までの、1年10ヶ月での国内での死者数は、1.8万人程度です。どれだけ多くの人が自殺で亡くなっているのかがおわかり頂けるでしょう。
自殺の原因は様々であり、経済的に豊かで社会情勢も安定した日本で自殺が多い理由については、まだ不明な点が多いのが実情だそうです。
ただ、多くの方が、精神的疾患(鬱、適応障害)など、何らかのメンタル不調を抱えているようです。
知人の精神科医によると、来院される方の多くは、仕事が原因でメンタルをやられてしまっているとのこと。
そのことに気が付き、その先生は、現在、メンタル不調を未然に防ぐべく、管理職向けの研修をする会社を立ち上げました。
コロナでは、ワクチン、マスク、3密回避、不要不急の外出自粛など、国をあげて、意識高く対策に取り組んでいます。
コロナの数倍の死者を出している自殺に対しても、真摯に対策に取り組む必要があると思います。
電通、トヨタなど、パワハラを起因とする自殺事件は記憶に新しいですが、対岸の火事ではなく、「明日は我が身」と捉え、社員の方々の心身の健康、well-beingに留意して経営に取り組んで頂きたいものです。