年齢給

報酬制度の構築の際に、役割給(役割責任に応じて支払われる給与)以外に、
年齢給を入れるかどうかで迷われる企業様がいらっしゃいます。

年齢給とは、年齢に応じて給与が決定される賃金です。
例えば、22歳で10万円、35歳までは毎年1,500円ずつ昇給し、35歳から45歳迄
は毎年1,000円ずつ昇給し、45歳以降は年齢給は昇給なしとするようなものです。

年齢給だけで賃金制度を構築する企業は、ほぼ存在せず、「年齢給+役割給+
役職手当+営業手当」のように、様々なものを組み合わせて月給を支給します。
大雑把にいうと、下記のA・Bのどちらで行くかといことですね。

A:基本給+諸手当 ※基本給が評価に連動
B:基本給(=年齢給+役割給)+諸手当 ※役割給が評価に連動

最近の傾向としては、「脱年功序列」として、年齢を重ねただけでは給与が
上がらない制度を導入される企業が多いです。

しかし、「実力・成果・役職等だけで給与支給額を決めると、昇給させることが
出来ない社員も出てしまう。そんな社員のモチベーションを下げたくない。」
と考える経営者の方も、もちろんいらっしゃいます。

そんなときに、導入しようか検討の対象となるのが、年齢給です。
年齢給の導入を検討されている経営者の方に向けて、決断の際に考慮すべき
ポイントを整理してご説明します。


【年齢給導入のメリット】

①社員の定着率向上
年齢とともに給与が上昇する仕組みは、社員に長期的な安定感を与え、
定着率向上に繋がる場合もあります。

②ベテラン社員の育成
年齢を重ねるほど経験やスキルが蓄積される業務もあり、ベテラン社員の育成を
促し、組織全体のノウハウ向上に貢献します。

③社員の将来予測
年齢給の部分に関しては、将来的にどの程度支給されるのかが明確になり、
社員が自身のキャリアを計画しやすくなります。

【年齢給導入のデメリット】

①若手社員のモチベーション低下
年齢給の支給金額が大きすぎると、年齢が若くても高い能力を持つ社員の
モチベーションが低下する可能性があります。

②組織の活性化阻害
年齢が上がるほど給与が上がるため、若手社員が積極的に新しいことに
挑戦しにくくなる可能性があります。

【年齢給導入を検討する際のポイント】

①企業のビジョンと戦略
企業の長期的なビジョンや戦略と、年齢給が合致しているかを確認する。
どんな組織にしたいのか?という点も外せないポイントですね。

②従業員の構成
若手社員が多いか、ベテラン社員が多いか?実力主義の考え方の社員が多い
のか?それとも安定志向の社員が多いのか?も考慮する必要があります。

③業種・業界の特性
業種・業界によっては、年齢給が一般的であったり、そうでなかったりし
ます。IT・ネットのベンチャー企業で年齢給がある会社は見たことがないです。
他方で、製造業では年齢給を導入している会社は珍しくないです。

④競合他社の動向
上記の業種・業界の特性と関連しますが、競合他社がどのような報酬制度を
採用しているか、比較検討することも重要です。


外部の人事コンサルタントに相談すると、人によっては、年齢給を入れること
を当然の前提として、「年齢給はいくらにしましょうか?」と聞くような方も
いらっしゃいます。
しかし、年齢給は入れても入れなくてもどちらでも構いません。入れたとしても、
どの程度の金額にするかは、会社により異なります。
上記の要素を考慮して、自社に合わせてご判断いただくのが良いと思います。