人事評価にAI

さて、1か月程前に、日経新聞で人事評価にAIが使われ始められたとの記事
掲載されていました。

JCOMでは今年の4月から、コールセンターで働くオペレーターの人事評価を
AIが下せるようになったそうです。

AIで通話記録をすべて要約し、顧客の課題解決に結びついたかどうかを判定
するようで、2024年5月から試験導入したところ、上司による評価や顧客
アンケートとAIの評価がほぼ一致したため、全面導入する運びになりました。

とうとう企業経営の要である人事評価にもAIが導入されてきました。
これからも益々、AIが導入される範囲は広くなっていくでしょう。

例えば、
・会社の所在地、業種、社員数、現在の給与支給実績などを打ち込めば、
AIその会社に相応しい評価制度を自動的に作成してくれる。
・携帯の通話履歴、メールの送受信履歴、日報、作成資料、GPSを活用した
移動履歴、接触履歴、目標達成度合いなどをAIが自動的に情報を収取し
査定を実施する。
・今期の振り返り(良かった点、改善点のフィードバック)、来期の目標
設定の支援をAIがする。

最近の生成AIの進化をみると、上記のようなことは、数年以内に出来るように
なっているかもしれません(一部は既にAIが出来ています)。

間違いなく、中間管理職、人事、人事コンサルタントの仕事の一部はAI
に取って代わることになるでしょう。
好き嫌いの感情が入る余地が一切なく、人が評価するよりも適切であると
言えるような活用場面も出てくるでしょう。

では、上司である中間管理職、人事、人事コンサルタントの役割は不要に
なってしまうのでしょうか?

結論から言うと、人でなければ発揮できない価値を提供する限り、
不要にはならず、必要とされ続けると思います
逆に言えば、人でなければ発揮できない価値を提供できなければ、AIが
出来てしまうので、淘汰されるということです。当たり前のことですが…。

では、人でなければ発揮できない価値は何か?
前述のように、人事評価をAIがやってくれるようになった場合、上司は
何をするべきなのでしょうか?

これに対する回答は、色々あり、これから中間管理職が必死に考えていかなけ
ればならない問題ですが、一ついえるのは、面談の実施による成長支援です。

人の感情を理解し、コミュニケーションを取ることはAIの苦手分野とされて
いるからです。
これは人でなければ出来ない仕事の一つかもしれません。

また、行動や成果は、何らかの形でアウトプットされるので、目に見える
形となり、AIでも評価できるようになるかもしれませんが、意識や感情の
変化はAIでは把握することが難しいのではないでしょうか?

ある勉強会で、慶大の花田教授は、1on1(面談)の本質は、上司が部下の
意識の変化に気が付き、行動に変化させるように支援することだと仰っていました。

「なんか気分が乗らない。モチベーションが上がらないな。」
「プロジェクトが不安。どうしよう…」etc

社員は、上記のように日々、色々な感情を抱きながら、仕事をしています。
そういったものをいち早く察知し、フォローすることは人間である上司にしか
出来ない業務です。

また、成果が出ておらず、まだ行動も実施できていないが、
「今までのやり方ではダメだ。自分は変わらないといけない!」
と決意をした部下に対して、
「最近、目が輝いて見えるんだけど、何かあったか?」というような
声掛けをすることも、AIには出来ないでしょう。

上司に限らず、ありとあらゆるビジネスパーソンがAI出来ないことは何か?
を考えながら仕事をしていかなければいけない時代となりましたね。

私も日々精進していきたいと思います。