パート・契約社員の人事評価

人事評価制度を導入する企業の多くは、正社員の評価のために導入します。
しかし、最近、契約社員(シニア)やパートの人事評価制度のご相談も増えています。

【シニア】に関しては、ある程度の規模の企業様からのご相談が多いです。
60歳で定年となり、再雇用して、65歳まで嘱託(契約)社員として勤務を継続する社員が増えているので、そのシニアの評価制度を検討したいとのこと。多くの企業はシニアになった際に、一律に基本給を数十%カットし、再雇用しています。しかし、シニアといっても、働く意欲と能力は、下記のように人それぞれです。

〇バリバリ派
定年以前と同じように働きたい。週5日、フルタイムで働きたい。気力・体力・モチベーションも十分。パフォーマンスを維持している。

〇ゆったり派
仕事はしたいが、定年以前のような働き方はしたくない。週3~4日、時短で働きたい。体力も衰えてきて、パフォーマンスも下がっている。

このような違いがあり、当然、会社に対する貢献度に違いがあるにも関わらず、シニアだからという理由で、一律に定年時の基本給の〇%としてしまうと、働くモチベーションが下がってしまう社員が出てくるし、逆に、給与に見合っていない働き振りの社員も出てきてしまうとのことです。
頑張っている人/貢献している人とそうでない人の差を明確にした給与制度の導入を検討したいと考えている企業様が増えているという感覚があります。

現在、60~64歳のシニアの就業率は70%を超えています。

また、15歳以上の就業者総数に占める高齢就業者の割合は13.6%と、過去最高となっています。今後益々増えるシニア層のモチベーションをいかにあげるのかが、重要課題となってくる企業様は増えてくると思います。

次に、【パート社員】
パート社員に関しても、人事評価制度のニーズは高まっていると感じます。大企業では、パート社員の採用後、評価&育成するシステムが整っている会社も少なくありません。パート主体で店舗を運営している大手小売店や飲食店などです。GU社の制度は良い例ですね。他方で、パートを事業遂行の要として活用しているにも関わらず、評価制度がなく、言葉は悪いですが、適当に時給を決めているような会社や時給がほぼ変わらないような会社も散見されます。そういった会社では、優秀な人材が採用できない、離職してしまうというリスクがあります。実際にそうなってから、ご相談いただくケースも多いです。他方で、正社員を採用したくてもなかなか出来ないため、それを補うべく、パート社員の採用・戦力化・定着化に注力するという目的で、パート社員の人事評価制度を導入するケースもあります。

このように、非正規社員の人事評価制度の整備のご相談が増えている背景には、下記のような事情があると思います。

・少子高齢化
→正社員が採用できない。シニアやパートに今まで以上に活躍してもらいたいと考える企業が増える。他方で、健康寿命が延び、また、将来の年金制度への不安なども相俟って、シニアでも働きたい人が増えている。また、「自分の時間を持ちたい」等の理由から、正社員となれる能力を持ちながらも、あえて非正規社員として勤務している若い人も増えている。

・働き方改革関連法案
→法律により、雇用形態に関わらず、同じ仕事をしている人には、同じ賃金を支払うように要請されている。この所謂、同一労働同一賃金を実現するために、正社員と同様に、非正規社員の賃金制度を整備する必要がある。

働きたいと思った人が、それぞれのライフスタイル、価値観に合わせて、雇用形態や労働時間を選択する。そして、年齢や雇用形態に関わらず、その仕事内容や役割・責任、努力や貢献度に応じて正当な評価を受ける。このような形で、イキイキと働く人で溢れる社会にしていきたいですね。