人事評価制度を作りながら社員の成長&組織の活性化

あと少しで年末年始の休暇という人が多いでしょう。慌ただしい日々が続いている方も多いと思いますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?

さて、本日はタイトルにあるように「人事評価制度を作りながら社員の成長&組織の活性化」というテーマで徒然なるままに書きたいと思います。

お伝えしたいことは、「人事評価制度を作る際に、社員から立候補を募り、PJを立ち上げ、PJメンバーが中心となり人事評価制度を作ると、素晴らしい内容のものが出来上がり、また、そのプロセスでPJメンバーが成長し、さらに、組織のチームワークも良くなる」ということです。

現在、私がサポートしている企業で、人事評価制度構築中に、社員の行動が目に見えて変わってきています。

・指示を受けて仕事をするというスタンスだったある社員が、自ら業務プロセス改善のための行動を実施
・ある社員が、社内の情報共有の大切さに気が付き、様々な情報を一元化するための取り組みを実施
・ある管理職が、社長の意思決定をサポートする有志によって構成された意思決定機関のようなものの設立を社長に提言

現段階では、等級制度の構築までしか完了していませんが、社員の変化は、行動や発言から一目瞭然です。どのようにして、このような行動変容が生じたのか?今回は、そのプロセスを紹介したいと思います。


1.価値観&方向性の共有
会社の経営理念、Vision、Mission、Valueについては、まだ明確になっていない企業様でしたが、まずは、「何のために人事評価制度を導入したいのか?」「どんな会社にしたいのか?」「社員にはどうなってもらいたいのか?」など、社長の想いをワークシートに書き出して頂き、それを踏まえた上でヒアリングを行い、方向性を共有しました。
その中で、社長より、可能な限り、社員を巻き込んで人事評価を作っていきたいという要望をお聞きしました。自分たちで作った制度の方が、社員の皆様が主体的に取り組むからです。また、制度を作っていく過程で、社員が成長することを期待されていました。

2.素案作成
社員を巻き込んで制度を作っていくといっても、他の業務との兼ね合いもありますし、人事のことはご存じないですから、白地から作成することは困難です。ですから、まずは議論のたたき台となるような素案を作成しました。具体的には、通常のコンサルティング同様に、人事評価制度の作り方を社長に説明し、他社事例やひな型を活用しながら、社長が一緒に素案を作成しました。

3.社員アンケート実施
素案を作成する段階で、社長は様々なことに悩みました。「どんな制度にしてほしいか?」「賞与、基本給、昇格の仕方に対する満足度」「社員が考える理想の課長とはどんな人物なのか?」「管理職は、自分達がどんな役割や責任を果たすべきだ考えているのか?」「社員は成果と行動、どちらを重視して評価してもらいたいと思っているのか?」「管理職コースと専門職コースの2つの制度を作ることを検討しているが、自分はどちらに進みたいと考えているか?」等です。社員が納得するような制度が作れるように、また、PJメンバーが制度を作っていく際の検討材料にするために、数十項目に渡るアンケートを実施しました。

4.PJメンバー選定
基本的には、「意欲重視」でメンバーを選出していきました。その方が良いものが出来る可能性が高いためです。何名かは社長から直々にPJ参加を依頼し、結果として、40名位の社員のうち7名がPJメンバーに選定されました。

5.PJ会議推進
まずは、人事評価制度の基本的なレクチャーを実施。社長が作成した素案、レクチャーの資料、人事基本方針を参考にしながら、PJメンバー一人一人に、各等級毎の役割や責任を考えて頂き、ワークシートにまとめてもらい、PJ会議で発表してもらいました。個人発表終了後は、PJメンバーを二つのグループに分けて、グループ毎にディスカッションし、課題に取り組んで頂きました。結果的に、等級制度を作成するのに全6回の会議を開催し、6か月間を要しました。

6.制度の浸透
人事評価制度は作ってからがスタートです。いかに社内に浸透させ、人材育成ツールとして活用できるかが、肝となります。通常はコンサルタントが社員様向けの説明会を実施して、初のお披露目となります。しかし、今回は、PJメンバーが同じ年齢や役職の人たちと事前にディスカッションをすることになりました。どんな背景で、どうしてこのような制度となったのかをPJメンバー一人一人が同僚に語る機会を設けるということです。


人事評価制度は、良く「作ってからがスタート」と言われます。なぜなら、作っただけでは意味がなく、それをしっかりと社内に根付かせ、行動変容を起こすことで社員が成長し、組織が変わっていくからです。

ところが、今回のケースでは、制度を作っている過程で、社員の行動が変わり、PJメンバーが成長していきました。まさに、人事評価制度を作るというPJそのものが、チームビルディングや組織開発、人材開発のコンテンツとなっていたのです。また、制度の中身としても、社長やコンサルタントだけで話し合って作成するよりも良いものが出来上がりました。

少し手間暇がかかるという点がネックですが、このような方法で作った制度は内容的に素晴らしく、制度の定着も早いですから、制度構築の一つの方法としてご検討頂いてもよいと思います。ご参考まで。