首相辞任と健康経営

安倍首相が、持病が悪化したこと等から、国政に支障が出る事態は避けたいとして、
総理大臣を辞任する意向を固めたとのニュースが入り、驚きました。

well-being(健康、幸福、良い状態)の観点から気になることは、連続執務日数ですね。
首相は、2020年の1月から6月まで連続で148日間、連続で執務されていました。
コロナ対策で大変な時期でしたらから、やむを得ないかもしれませんが、さすがに
5か月間休みが一日もなく、しかも、持病を抱えているとなれば、当然体に大きな
負担がかかったことでしょう。

世の中を見渡すと、コロナ一辺倒です。
テレワークの推進、3蜜を回避した組織運営、在宅社員の評価・マネジメント方法、
webシステムを活用した営業方法etc
そして、業績が下降り、それをリカバリーすべく、現場の負担が大きくなっている
会社を散見します。
公共職業安定所や労働基準監督署の方々と話をしたときも「働き方改革どころではない」
というような意見を聞きました。大変な状況にある会社は、多々あります。

他方で、社員はどのようになっているのかというと、今後の経済情勢、自社の業績、
キャリアに不安を感じながら、本領を発揮できていない方が多くいます。
そんな状況で働き続けては、安倍首相のように、いつか自分から辞めてしまうかも
しれません。

ですから、こんなときであっても、いや、こんなときだからこそ、経営者は
社員の心と体の健康に気を配って欲しいと思います。

私の知っている、ある経営者は、コロナの影響で業績が大打撃を受けています。
その会社の人事評価制度をそのまま適用すると、社員の方々の給料は下がることになる
のですが、その社長は、給料を下げませんでした。
社員が苦しい環境の中で、必死に頑張ってくれていることを知っているからです。
もちろん、会社の存続のためには、人件費を削減するべきであり、それが雇用の確保
につながり、従業員のためになるという意見もあります。
どちらが正しいかを議論したいのではありません。
重要なのは、給与を下げるかどうかではなく、経営者が社員の幸せを思い、意思決定
しているかだと、私は思います。
その社長の想いは、社員の方々にしっかりと伝わったと思います。

会社が社員の幸せを願い、社員もそれに応えるべく業務に励み、会社が成長する
会社と組織が一体となり、双方の成長に貢献し合う関係が出来ている
これがwell-being経営であり、エンゲージメントが高い状況だと思います。

「災い転じて福となす」
コロナをきっかけに、社員の幸せを考える企業が増えることを切に願っております。