【well-being書籍のご紹介~VOL.1~】幸福になる「脳の使い方」

これから、well-beingに関する書籍を紹介していきます。
本日は、脳科学者の茂木健一郎氏の「幸福になる『脳の使い方』」のご紹介です。

ほんの一部のご紹介ですが、下記のようなことが書かれていました。

イースタリン・パラドックス
一人当たりのGDPが増加しても、国民の幸福度や生活満足度は向上しない。

人は他人との比較において、自らの幸福を感じる
イースタリン教授の論文によると、「人は自分の収入だけがあがり、その他の人間
が現状に留まっている場合には、満足している」。反対に、他の人の収入が上がって
いるのに、自分だけが現状に留まっていた場合、その人は不幸を感じる。

シャーデンフロイデ
「他人の不幸や苦しみを自分の喜びとする」という意味のドイツ語。
人間には、相手が不幸になったら自分が嬉しいという脳の働きがある。
脳の中の線条体という部位が働くため。
それは相手の社会的地位が下がることにより、相対的に自分の地位が上がる可能性が
高まるため。
特に、日本人は、シャーデンフロイデの感情がとても強いと言われている。

ミラーニューロン
霊長類などの高等動物の脳内で働く神経細胞。
ミラーニューロンが働くときに、人は自分と他者とを比較している。
比較することで、自分のポジションをとらえている。

そのうえで、著者はこのように言っています。
「常に他人との相対的な関係性をはかり、自分の地位を確立しようという脳の働き、
これはいわば無間地獄のようなものです。」
どんなに勉強が出来たり、資産を持っていても、上には上がおり、いつまでたっても
完璧な満足を得ることが出来ないためです。

私も、著者に同意です。
幸せには4つの因子があり、その中に「ありのままに」という因子があります。
独立と自分らしさの因子と言われており、他人や周囲を過度に気にせず、比較しない
ことが幸せの秘訣であることがわかっているからです。

この本で非常に勉強になったのは、脳科学的には、ミラーニューロンや線条体の機能により、
意識せずとも、本能的に、他人と比較してしまうのが人間であるということです。
とすれば、ありのままでいるためには、幸福になるためには、工夫が必要です。

その方法として、著者は様々な方法を紹介していますが、ここでは一つだけ紹介します。
それは、「他人との差を優劣ではなく独自性やユニーク性でみる」ということです。
脳がそもそも他人と比較してしまうという機能があるのであれば、それを逆に利用して、
幸せになるということです。

自分の性格、強み、価値観など個性を認識したり、他社にそれを認めて貰ったり、
支援して貰ったりすることで、幸福度が上がることがわかっています。

この本には、著者の過去の苦い経験談を交えながら、わかりやすく、幸せになる
ためのコツがいくつも書かれていますので、是非興味のある方はお読みください。

なお、組織内においては、キャリア開発研修、1on1面談、ワークショップなどにより、
社員の独自性やユニーク性を明らかにすることが出来ますので、社員の幸福度を上げて、
生産性を高めたいという企業様は、それらに取り組まれることをお勧めします。