「生き方改革」カゴメ社
先日、名古屋で開催されたHRExpoで、カゴメ社の人事執行役員である有沢様のセミナーを
聴講しました。印象的であったことをまとめておきたいと思います。
①人事評価制度改革には、TOPのやる気が一番重要
従来のカゴメ社の人事評価制度は、評価と報酬が連動していなかったようです。
執行役員全員の給料が1円も差がついていないほどだったとのこと。
有沢様が人事評価制度改革の必要性を社長に説き、合意を得て、次は他の役員たちに
プレゼンするときに、カゴメ社の社長は、役員たちに次のように語ったようです。
「私は、有沢さんから、人事評価制度改革について、30回位話を聞いていて、賛同している。」
「もしもこれから有沢さんが説明することに反対する場合には、私を解任してください。」
②降級・降格は上層部から実施していく
成果主義的な人事評価制度を導入することになったので、当然、降級・降格するような仕組みと
あったわけです。その際に、一番最初に降格させたのは、執行役員であったとのこと。
緊張感を醸成するための降級や降格ではなく、むしろ、公正感を醸成するという目的
を重視されているとのことでした。社員から拍手が出るような降級・降格を実施されたようです。
③主権在民(主権は会社ではなくて、社員にある)
会社が社員のキャリアを決定するのではなく、社員一人一人の自律的なキャリア形成を応援する
という制度に改革されたとのことです。
専門職コースを設けたり、副業を許可したり(業務委託のみならず、他者との雇用契約もOK)、
単身赴任を拒否できるようにしたりなど、様々な施策に取り組まれています。
特に印象的だったのは、社内に、HRBPという人材育成担当を配置していることです。
HRBPには、各現場でエース級の活躍をしている社員を宛がい、キャリアコンサルタントの
資格を取得させ、現場社員の面談役(傾聴と共感)に徹してもらうそうです。
社内では、HRBPは人事部長と同格であり、将来的には、執行役人になるためには、HRBPを
経験していなければならないというような考えもあるとのこと。
最初は有沢様のお話をお聞きしながら、お恥ずかしながら、
「年功序列の企業が成果主義的な人事評価制度を導入した際の良くあるパターンの話かな?」
というような感想を抱いていたのですが、そうではありませんでした。
カゴメは、会社側の視点に立った、労働生産性向上を目的とする「働き方改革」と、
社員のQOLを尊重し、自己決定権、自由なキャリアを支援する「暮らし方改革」を両立して
おり、まさしくカゴメ社がいうように「生き方改革」を実現されていると思いました。
有沢様は、様々なセミナーに登壇されたり、インタビューに応じていらっしゃり、
検索すれば色々と情報が入手できます。
興味をお持ちの方は、是非、情報収集してみてください。きっと参考になると思います。